サスペンション・プリロードについて。

そろそろ春めいて来て、バイクに乗りたくてうずうずしてる人も多いでしょう。
私自身、乗れない冬の間に鈍った勘を取り戻したり、新たにバイクと向き合う為に、
今、理解しているサスセッティングについて書いておきます。
 
ただし、あくまで素人の見解なので、
可笑しな所があったら、遠慮なく教えて下さい。
 
 
まず今日は、プリロード調節について。
いわゆる、サグ出しです。
 
プリロードとは何ぞや?と言うと、初期加重の事。
 
バネは何にもしてない状態では、加重が掛かった時点から沈み込みますが、
一定の寸法縮めておくと、沈み込むポイントが変わります。
 
例えば、何もしてない状態だと、1kgから沈み込むバネが、
少し縮めておくと、5kgまでは縮まず、それ以上加重が掛かると縮み込む。
 
要するに、バイクに何も力が掛かってない状態で、
ある程度サスペンションのバネを縮めておき、
バネが縮むポイントを調整するのです。
 
何の為にこれが必要かと言うと、
サスペンションの底付き防止と、車体姿勢の正常化の為。
 
底付きとは、プリロードを弱めたまま体重のかなり重い人が乗って運転すると、
場合によっては、サスペンションが縮み切って、底に当たってしまう事。
これを防ぐには、乗車する人の体重に合わせてプリロードを調節して、
底付きしないようにしなければなりません。
ただし、底付きしなければいいからと言って、プリロードを必要以上に強めると、
サスペンションが沈み込まず、充分な機能を果たしません。
つまり、体重の軽い人はプリロードを弱めなければいけません。
 
どのくらいで調節するのかと言うと、
それが車体姿勢の正常化にも繋がって来ます。
 
一般的に言われるのが、跨った時に前後とも、
サスペンションの最大ストローク量の、30%が沈み込むように調節します。
この30%と言うのは、サスペンションが底付きせず、
尚且つ、サスペンションのストロークを最大限に使えるす数値。
 
車体姿勢とは、メーカーがそれぞれのバイクに与えたキャラクター。
メーカー出荷時のままのノーマル車や、
大手サスペンションメーカーの車種専用品なら、
これが大きく狂う事はありませんが、カスタム等で車種専用ではない、
流用パーツを付ける場合には、注意が必要です。
このキャラクターを変えないようにするには、
前後とも同じパーセンテージで沈ませる必要があります。
 
そうする事で、車体姿勢を保ったまま、
適正値までサスペンションが沈み込むのです。
 
それが、30%なんです。
この30%を出す作業を、サグ出しと言います。
 
サグ出しに付いては、こんな感じ。
 
 
 
 
では、私の実際の経験について。
 
 
私は昨年、この作業を初めてしてみましたが、可笑しな結果になりました。
私のFZ1には、リヤに車種専用のオーリンズのサスペンションを入れています。
その状態でサグを出してみると、
フロントはプリロード最弱付近で30%の沈み込み、
リヤに至っては、最弱でもまったく沈み込みが足りませんでした。
 
これをどうにかする為に、車体姿勢の正常化を第一に考え、
リヤの沈み込むパーセンテージに合わせ、フロントを調節しました。
その結果が、フロント最強・リヤ最弱と言う、とんでもないプリロードとなりました。
 
計算・測定間違いでは無いので、疑問に思いながらも乗っていました。
 
その後、何人かの人から、この数値に疑問を投げかけられました。
 
いくら何でも、リヤの沈み込みが足りな過ぎる。
 
この原因として考えていたのが、オーリンズのサスペンションの開発時期。
FZ1オーリンズのサスペンションは、初期型の06モデルを元に開発しています。
ですが、私のFZ1は07モデルです。
細かい数値は把握していませんが、06モデルから07モデルになる時に、
サスペンションのスプリングが柔らかくなったらしいのです。
つまり、私のFZ1は、07の柔らかいフロントサスペンションと、
06の硬いリヤサスペンションを装着している事になります。
当初は、このアンバランスが原因で、
変わったプリロードの数値になったと考えていました。
 
ただ、それにしたって、リヤは沈まな過ぎ。
 
そんな折、同じFZ1仲間から言われたのが、
「減衰を弱めてみては?」と言うアドバイス
 
私の認識では、
減衰はサスペンションの沈み込んだり伸びたりするスピードを調節するもの。
減衰を弄ったところで、沈み込む数値に変化は無い筈。
疑問に思いながらも、減衰を最弱まで弱めてみると、
あら不思議。跨った状態での沈み込み量が増えました。
 
私には、目から鱗の出来事でしたが、
詳しい人からすると、常識なのかもしれません。
 
私がプリロードを調節する時、減衰の数値は、メーカー出荷時に合わせました。
 
私のサスペンションに関する知識は、
人に聞いた事と雑誌やネットに載っている事から得たもの。
この雑誌が曲者で、本当に詳しくプリロード調節について記載している雑誌は、
ほとんどありません。
ましてや、プリロード調節をする際に、
減衰をどの数値にすればいいかの記載は、皆無です。
どこかのネットの記事で「減衰は少し弱めましょう」と書かれてましたが、
少しってどのくらい?
 
この弱める数値によって、沈み込み量が変わってしまうのでは、
何処に合わせたらいいか分かりません。
 
私は当初、減衰の数値は沈み込み量に影響しないと考えていたので、
とりあえず、出荷時にしましたが、実際はかなり影響します。
いや、本来影響しない筈が、影響してしまう、と言った方がいいのでしょうか?
 
もしかすると、オーリンズが特にその特性になっているのかもしれません。
 
 
これらの事で、頭の中でのサスセッティングに対する考えが崩れました。
今まで、バネレートが高過ぎて、まったく沈まないと思っていたオーリンズが、
減衰を弱めた今は、スッコスコに沈みます。
 
では、一体何処に減衰を合わせてプリロードを調節するのが正解なのか?
それは未だに分かりません。
 
その為、一旦考え方とやり方を変える事にしました。
今までの計算上での調節ではなく、実際の沈み込みで測ります。
これは、サスペンションにストロークセンサーを付けるやり方。
そのストロークセンサーが、実際に走って、何処まで沈みこんでいるか?
計算で合わなくても、実際に沈み込んでいれば良しとします。
 
このやり方は、跨った状態ではなく、走った後に測る方法。
これなら一人でも出来ます。
とりあえず、前後とも最弱付近から始めてみるつもりです。
 
 
それにしても、いろんな雑誌を観ましたが、
ちゃんとサスペンションについて書かれてる雑誌って、ほとんどありませんね。
某Bステーションは、まだ詳しくプリロードについて書いてる方でしたが、
その時の減衰には触れてません。
某BM誌などは、とにかくプリを抜いて減衰を強めろとあるし、
某Rクラブは、とにかく全部弱めろとあります。
 
膝すりのやり方よりも、
ちゃんとした車体姿勢を出す事の重要性と、やり方を書く方が先じゃない?
 
とりあえず、読者の体格や走り方やシュチュエーションを無視して、
このバイクはこのプリとこの減衰値にしろって雑誌の記事は、
鵜呑みにしない方が身の為です。
 
だって、装備重量が90kgの人もいれば、50kgの人もいるのに、
信憑性無いでしょう?