オリジナル・シート、製作記。

なかなか好評のようで、うれしい限りのシートカバー風小物入れですが、

折角なんで、製作日記を記しときます。

・・・まぁ、これ読んで「よし!俺も作ろう!」なんて人は、いないでしょうが・・。


まず素材選び。

私は前職で、FRP制作業をしていましたので、当然FRPで制作します。

(2輪だと、マジカル・エーテック・ライディングハウス・キタコ・オーバーなどを作ってましたよ。)

FRPとは、ファーバーグラス・レインフォースド・プラスチックの略で、

型にゲルコートという液状のプラスチックを拭きつけ、

上からガラス繊維を敷き、樹脂で固めた物で、

通常のプラスチック(ABS樹脂)に比べて強く・軽く・割れにくく・小ロットで制作可能。

割れても、千切れたりしませんし、雨にも強い。

主に、2輪・4輪のアフターパーツ、船、ユニットバスに使われております。


では、制作に掛かります。

まずは、ホームセンターで売っているウレタン?の板を購入。

1m×50cmで、400円くらい。

それを、カッター・ガムテープで、切ったり貼ったり。




こんな感じに。

大まかに形が出来た所で、発泡スチロール用のボンド・アロンαで接着。

ここで、注意。

ウレタンに発泡用のボンド以外を付けると、溶けてしまいます。

接着後、隙間を紙粘土で埋めます。

これも、普通のパテは溶けるので使えません。

形を整えて、上から水性のスプレーをして、フィッティングして見ます。




これで、マスターの出来上がり。

これは、上のふたの部分。この他に、内側部分を作ります。(画像無し)

出来上がったら、コーティングが必要です。

これも、ウレタンをFRP樹脂が溶かしてしまう為です。

ここで本来なら、発泡スチロール用の樹脂がありますので、それを使うべきです。

ですが、ちょっと高いので、貧乏コーティングを。

出来上がったマスターに、塗装工事用の養生テープを巻きます。

これで、溶剤の浸入を防ぎます。

この上から、ゲルコート代わりのラッカーを吹き付けます。




こちらは、内側のパーツ。




では、FRPの材料です。




すべて大手ホームセンターで揃えられますが、ネットが安いです。

私が購入したのは、マット1m×1m 2枚、樹脂2kg、アセトン、硬化剤のセット。

失敗した時の事を考えて、必要量の倍を注文しました。

それでも、3000円とお得。

その他の、ローラーや刷毛は100均でも売っています。



今回は900番という厚さで成型します。

目安となる厚さは、

300番+ガラスクロス→2輪レース用ゼッケン

カーボンケブラー+300番+ガラスクロス→2輪メーカーサテライトチームのレース用カウル

カーボン+300番+ガラスクロス→市販の2輪用ウエットカーボンパーツ

450番+ガラスクロス→市販の2輪用FRP製品

600番→4輪オーバーフェンダー

900番→4輪バンパー・ボンネット・サイドステップ

ですので、2輪用としてはかなり厚めです。

これは、本来FRPは製品を見た状態の裏から貼って制作するのですが、

今回は手間を省いて、逆の製法にしたため、成型後、表面を研ぎださなければいけません。

その為、始めから厚く成型しておくのです。


では、成型していきます。

マスターに樹脂を塗って、ガラスマットを均一に敷き、樹脂をしみこませていきます。




注文したガラスマットは450番なので、これを2回繰り返します。

そして、充分に樹脂を染み込ませたら、中の空気を抜いていきます。




あとは、数時間~1日置いてマスターと分離させれば、ひとまず形はOK。


その後、余分な部分をカットして、表面をグラインダーなどで均していきます。

(・・このあたり、写真を撮るの、忘れてます。)

一皮捲ると、ピンホールが大量に出てきますので、それを板金用パテで埋めては磨ぎ。

大体の形が出来た所で、フィッティングして見ます。




こんなもんかな?

ここで、内側のパーツと合わせて見ます。




余分な部分はカットして、大体こんな感じで。

内側のパーツに、事前に作っておいた取り付け金具を付けて、位置調節。

うまく位置を調節出来たら、2つを接着。




これもFRPで接着します。

これでもう、絶対に外れません。

再び余分な部分をカットして、形の最終調整。


上蓋の表面を、120→240→400→800→1000番の耐水ペーパーで仕上げます。

その後、サフェーサー・パテ・耐水で繰り返し仕上げ。

ピンホールを全部埋めた所で、塗装に取り掛かります。

色は、ほぼ真っ黒なんで、ツヤ有りブラックに気持ちパールを混ぜた物。

これを、エアーブラシで繰り返し吹き付けます。

さらに上から、クリアーコーティング。

今回は、ルアー整形用のセルロースセメントを使用します。

これは、ウレタンなどより紫外線による色の変化が少ない為です。


その後、さらに1000番の耐水で表面を研ぎ出し、コンパウンドで磨いて、

最後に、取付金具などを付けたら、完成。




途中、体調不良などで作業がストップしたりして、

完成までに、2ヶ月弱掛かりました。

まぁ、ほとんどが仕事の合間の、休憩時間の作業でしたから。


完成後、日が経つとピンホールなどが浮いて出てきて、

実物はあまり綺麗ではありません。

作業自体も、成型中に樹脂が固まったり、塗装道具が潰れたりで、

順調には行かなかったです。

でも、なんとか形には出来ました。





でも、もう絶対に、作らない!!



だって、面倒くせ~もん!!





これ見て、作ろうって人、いる?